シェルル小説3
続きです↓
「ど、どうしましたかルルー様!?」「どうしたのルルー!?」
扉が力任せに開かれる音に続いて金属が床に打ちつけられる音が響いた。
するとアルルが緊迫する顔をへにゃりとゆがませた。ミノタウロスは慌てながらカレーに彩られたルルーを目を泳がせながら見ていた。
驚きのあまり持っていたカレーを入れた鍋を天井に届くまで振り投げたルルーは、当然の如く、頭からカレーをかぶってしまったのだ。
未だ茫然自失するルルーの横を鍋がころころと転がっていった。
アルルは胸をなでおろすようなしぐさをして、やわらかい、間の抜けたような声で言う。
「はぁあ~、良かった。ルルーになんにもなくて。安心した。」
そしてその場にへたりこむと、視界の端、シェゾがそろりとこの場から立ち去ろうとしているのが目に入った。
「あぁ~~~!?シェゾだ!もう起きたんだね~」
ぎくっとでもいいそうなほど体をびくりと震わせたシェゾは汗をだらだらに流して硬直した。
するとシェゾ、という言葉にルルーはピクリと反応し、みるみるうちに顔を真っ赤にしていった。つられてシェゾも赤面する。
ぽかんとしてはてなを浮かべるアルルはミノタウロスの服の裾をくいとひっぱる。
「なんかボク達お邪魔みたい…だね?」
「そうだな…っ、ルルー様が今目で戻れとおっしゃっていた。部屋に戻るか、アルル…!!」
「?…なんでシェゾのこと睨むの?」
「なんでもない!ルルー様!お気をつけて!」
そう言いながらアルルとミノタウロスは部屋に入っていった。
ぱたんと扉が閉まると静寂が訪れる。カレーのにおいが廊下には漂っていた。
そのカレーのにおい漂う静寂をやぶったのは……
続く